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ツナ教VSコンサイコン編・後編

ほとんど完成してたくせに加筆したい修正したいっていうみかんさんのワガママで掲載が遅れました、ツイ学ツナコンサイコン編後編です。
ごちゃごちゃ言うよりもう見てくだされ!!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


第三章

「おはようございます、ケントさん!」
「おはよう。じゃあね」
「待ってください。大事なのはここからです!」
「いつもいつもしつこいよ!」
 朝一番の教室、今日も今日とてこのクラスは騒がしい。
 教室に登校してきたケントに素早く走り寄り、宗教勧誘を始める。
「なーんか、この光景もお決まりになってきたな」
「今小銭数えてるから、ちゃらい声で話しかけないで」
「うぅ……今日寝坊しちゃって、ご飯食べる暇なかった……お腹空いた……」
「あーりんにクッキー作ってあげる」
「待て……この展開は! 小銭はやらせんぞ!!」
「はいどーぞ、あーりん。よしきち、十円玉を三枚もらったよ」
「はえーよ!! あげてねーよ!! 返せよおおおおおお!!」
「この教室、本当騒がしいな。ま、天界の騒々しさに比べれば平和でいいが」
 ガッギィィン!
 のん気に朝の時間を過ごしているところへ、けたたましい衝撃音が響き渡る。
 その正体は、コンサイコンとフリーズツナのぶつかり合いだ。
「ひゃ……ここで始めるつもりなの?」
「止めても無駄だ、あーりん。こっちに避難しておいたほうがいいぞ。俺も小銭をこっちに避難させよう」
 バタバタと教室の隅に避難し、渦中の天瀬とケントから距離を取る。
「ケントさんがその気なら、私も容赦はしません。ツナ様! 力を貸してください!」
 天瀬が手を開いて突き出すと、彼女の周囲に五匹のツナがケントの方に向いて出現した。空中を不気味に浮かんでいるマグ――ツナの画はなかなかに奇妙な光景だ。
 ばっ、と手を横に払うと、そのツナが高速でケントに向かって突進する。
 ケントは一匹目をコンサイコンで叩き落し、二匹目を身体を横にずらして回避。三匹目は腹を蹴飛ばして進路を反らす。四匹目は再びコンサイコンで殴り飛ばし、そのまま五匹目にあてて弾き返す。
 弾かれ、かわされたツナは全て壁や床に当たる前に光の粒となって溶け消える。
「ツナ様を蹴ったり殴ったりなんて罰当たりにもほどがあります! なんてことをするんですか!」
 ツナによる突進攻撃を全て防御された天瀬は、興奮した表情で叫ぶ。
「だったら訳の分からん攻撃をやめたらいいだけだろ!」
 片腕でコンサイコンをくるくると回すケント。その額には僅かながら汗が浮かんでいた。
「やばいな……」
 そうつぶやいたのは、疾風だ。
「どうかしたの……?」
 あーりんが不安そうに尋ねる。
「あいつらのぶつかり合いで……力を得ているやつがいる」
「ちから? どういうことなの?」
「人間同士の争い事は大小問わず、負の感情を生む。それは当然のことだ。俺も誰が争おうとどうでもいいが……今回ばかりは別だ。双方とも止めないとまずい」
「おい疾風、それじゃ分からねえよ。俺の小銭は大丈夫なんだろうな?」
「お前は自分の身を心配しろ。いいか。この学園の下には十中八九、悪魔が潜んでる。多分、俺の力を狙ってるんだろうが、別に俺の敵ではない。が、どうやらこの悪魔は狡猾らしい。学校ってのは、色んな感情が渦巻くだろ? もちろん、負の感情だってたくさんだ。悪魔ってのはそれを糧にして力にするんだよ」
「悪魔だぁ……? 正気か疾風? そんな妄言ならよそで言ってくれよ。あー、俺の小銭がなくなるのかと思ってひやひやした……」
「その悪魔が力をつけると、疾風さんでも勝てないの?」
「分からん。ただ一つ言えるのは、勝てる保証はない」
「おいたふ、お前は信じるのかよ。こんな話」
「信じるよ? だって疾風さん、嘘をついてる感じじゃないじゃん」
「クレイジー過ぎんだろ」
「ちなみにこれは、ハンムラビ法典にも書いてあることだ」
「マジかよバビローーーーン!! ハンムラビ法典ならマジだわ。今すぐどうにかしようぜ」
 ハンムラビ法典に絶対的な信用を持つよしきは、あっさりと手の平を返した。
「よく分からんけど……あの二人をデートに誘えばいいんだな」
「ちゃら」「ちゃらいよみすたん……」「ちゃら奴~」
 とかなんとか言ってる間に、二人の戦いはエスカレートし、黒板をぶち抜いて隣の教室まで戦場と化していた。
「二人ともそこで終わりだー!! 小銭をやるから落ち着けええええ!!」
 ツナとコンサイコンがぶつかり合う戦場に飛び込んでいくよしきち。
「おい邪魔だ!」
「よしきさんどいてください!」
「ダメだ、ここはどかな――ごふっ!」
 キメ顔で二人の間に割って入ったまではよかった。が、威勢がいいだけで争いが止められるはずもない。戦闘モードの二人に、躊躇なく吹き飛ばされたよしきは、床の上を三回転して動かなくなった。
「くっ……来世では……もっとたくさんの小銭が増えてますように……」
「よしき死なないで!」
 くたばりかけるよしきをあーりんが抱きかかえ、安全な場所まで連れて行く。
「いい。ここは俺がやろう。天界の連中に感づかれる可能性があるから……あんまり力は使いたくなかったんだがな……」
 刹那、疾風の背に風が集まっていく。まるで小さなブラックホールような、真っ黒な特異点を背中に宿す疾風。その場所を中心に風が渦を巻く。やがてその風が止むと、彼女の背には漆黒の翼が生えていた。
 堕天使――それは嘘でも何でもないことが、今ここで証明されていく。
 黒く、深く、麗しい。芸術のように洗練された印象を受ける黒翼が一度、大きくはためいた。直後、周囲の机と椅子が倒れ窓ガラスにヒビが入っていく。肌が焼けるような、じりじりとした凄まじいオーラが放たれている。誰も近づくことを許されない――強大なプレッシャーを放つ疾風の姿は、先ほどまでの女子学生のそれではなかった。
「な……は……? あいつ本当に天使だったのかよ!?」
「天使か……今まで天使みたいな女の子は見てきたけど、本物の天使は初めてだ。デートに誘おう」
「この姿も久々だな……さっさと終わらせよう」
 黒翼を生やした疾風は、目にも見えない速さで天瀬とケントの間に入る。
「もう充分だろ。やめろ」
 一瞬にして二人の間に現れた疾風は、宙に浮きながら二人を交互に睨んだ。
「どいてください疾風さん」
「そうだ、あんたには関係ない。これはボクたちの問題だ」
「じゃあ寝てろ」
 言うが早いが、疾風はケントに向かって蹴りを繰り出した。ただの蹴りだが人間離れした速度の蹴りで、当然反応することは叶わず、まともに受けたケントは壁に打ち付けられそれきり動かなくなる。
「次は天瀬、あんただ。それとも、気が変わったか?」
「私はケントさんにツナ教に入ってもらうまで、戦うのはやめません」
「だったら同じように寝ててくれ」
 先ほどと同じ攻撃が、天瀬を襲った。しかし、それを受けて天瀬が気絶することはない。
「なっ……フリーズツナ……!」
 攻撃を受け止めるべく、天瀬の目の前に現れたフリーズツナは、人ならざる身で天使としての力の片鱗を振るう疾風の攻撃も防いで見せる。
 少し怯みを見せた疾風だが、天瀬に向かって両手両足を使った連撃を放つ。
 けれども疾風の攻撃はことごとく、虚空から現れるフリーズツナによって防がれてしまう。どれだけの速度で、どれだけの威力で放っても、天瀬に攻撃は届かない。まさに絶対防御だ。
 疾風の攻撃がフリーズツナとぶつかり合う度、尋常ではない力の余波が周囲に広がる。床は凹み、蛍光灯は割れていく。窓にはまったガラスに至っては、残っている枚数を数える方が簡単だ。
「どうなってる……! 堕天したとは言えども、俺はこれでも天使だぞ……俺の攻撃が全て人間の身で防がれることなど……」
「ツナ様は信じる私を救ってくれるんです。だから、疾風さんがどれだけすごい人でも、私を傷つけることはできません」
「ツナ……は!? そうか……。天使の俺では、曲がりなりにも神であるツナ様とやらには抗うことができねえわけか……」
 天使とは、所詮は神が生み出した下位の存在。神の領域に身を置く存在には、他宗教であっても抗うことはできない。それは絶対の理である。
「天瀬……あんたに俺は勝てないらしい。けど考えてみれば、片方は眠ってもらったしこれで争いごとも、いったん終了だ」
「いいえ、今のケントさんを介抱して恩を売ってツナ教に引き込みます」
 どこまでも貪欲に、ツナを信仰しそして信者を増やそうとする天瀬には、天使の声も届くことはないようだ。
「……あんたの信仰するツナ様とかいう神は、それで納得するのか?」
 疾風は訝しげに天瀬に尋ねる。そんな言葉を聞いて、天瀬が黙っているはずがない。
 しかし、天瀬が口を開こうとしたその時、別の声が割り込んできた。
『面白い力を見せてもらった……ククク……ハハハハ!!』
 血の底から響いてくるような、重たく恐ろしげな声。
「誰だ貴様は?」
『いきなりすげえ力の波動を受けたから何かと思えば、これはこれは天界最強と言われた大天使様じゃないか。俺様は名乗るほどでもないただの悪魔だが……そうだな、アークとでも名乗っておこうか』
「天界最強……ハッ! 昔の話だクソ悪魔。このまま何もしなければ見逃してやろうと思ってたところだ。さっさと失せろ」
『そうはいくかよ。たった今、面白い力を手に入れたところだからな。今の俺様ならあんたも潰せるぜ』
「……やる気なら仕方ない。悪魔の身で天使に歯向かったことを、後悔させてやる」
「疾風さん……? 今の声は……?」
 天瀬の質問には答えず、疾風は教室の窓から飛び出した。黒い翼で羽ばたき、運動場の上空に飛翔する。そこには、奇妙な人影が浮いていた。アゲハチョウのような翼を生やした、全裸……いや、ブーメランパンツのみのムキムキの男性だ。しかし、姿形こそは人間だが放つ殺気は疾風にも負けていない。これが、先ほどの声の主……悪魔アークなのだろう。
『へぇ……あんた、その翼……さては堕天したか。ハハハ! 天界最強の大天使様がどうしてまた?』
「答える義理はない。さっさと死ね」
 言うが早いが、疾風は黒翼を羽ばたかせて悪魔に詰め寄る。両手にはいつの間にか、黒く光る双剣が握られていた。
 猛スピードで接近した疾風は、慈悲も何もなく反応できずにいる悪魔に斬りかかった。
 が、返ってきたのは肉を削ぐ手応えではなく、つい先ほどにも味わった完璧に攻撃を防がれるあの感覚だった。
 見れば、黒色に染まったフリーズツナが出現し、悪魔を守っている。その見た目的にはさしずめ、ダークネスツナと言ったところだろうか。
「貴様……!」
『さっきの人間から負の感情を吸いだす時に、一緒にこの力も手に入れたのだ。どうやら、この力はあの人間だけの特異なものらしいな。少なくとも、誰でも得られる加護ではない……とそんなことはどうでもいい。お前はこの力には抗えないんだろ? じゃあ……潰れろ!!』
 悪魔の周りに数えきれないほどの、真っ黒なツナが現れる。
「チッ!」
 次々と射出されるツナを疾風はひょいひょいとかわしていく。そのかわしたツナは消えることなく、飛んだ先にある校舎や運動場を破壊している。天瀬が使っていた力よりも、凶悪なものになっているらしい。
「かわせば被害が出る可能性が……くそ!」
 突っ込んでくるダークネスツナに、両の黒双剣を使って対抗を試みる。が、ただ力任せに斬りかかったところで、ダークネスツナは止まらない。やはり、悪魔の手に落ちてもその格付は変わらないままのようだ。
「切っても落とせないなら……」
 力任せの攻撃が効かないなら、被害の少ない方向に軌道を反らすしかない。凄まじい速度で飛んでくるツナを、一体一体上手く双剣を使って軌道を変えていく。
『フハハハハハ!! 天使のダンスかそれは!? 滑稽だな! 早くしないと潰れるぜ!?』
 疾風は戦い方を変えた。だが、それはアークに直接ダメージを与えられるものではない。このままでは防戦一方でじり貧になることは、誰の目にも明白だ。
「くそ……どうすればっ……」
 相手の振るう力に、文字通りの格の違いがある以上、アーク本体に決定打は与えられない。
 万事休すか……そう、思いかけていた時だった。
「やめてください!! ツナ様をそんなことに使わないでください!!」
「なに……! こんなところへ出てくるな天瀬!」
 声の方を見れば、天瀬が一人運動場の真ん中に立っているようだった。
『さっきの人間ではないか……ハハハ! この力、感謝しているぞ?』
「そんなことはどうでもいいです! ツナ様を、誰かを傷つけたり物を壊す道具として使わないでください!」『お前がそれを言えるのかよ……』
 悪魔が呆れ気味に天瀬を見下ろし……ニヤリと口角をあげた。
『そんなにツナ様が好きなら……お望み通りツナ様であの世に送ってやるぜ!』
 アークが、すっと片手を挙げると、疾風の方に向いていたツナの内の一体が角度を変えた。その先に捉えるは……天瀬だ。
「ダメだ! 逃げろ! お前には今加護がない! 早く!」
 天瀬に向かって必死に叫ぶ疾風。けれど、それは空しく響くだけだ。
『おせえ!!』
 悪魔の号令で、一匹のダークネスツナが放たれる。天瀬を貫かんと、猛スピードで迫るツナは信者も何も関係なく、貫くことだろう。今更焦っても遅い。もうダメだ、疾風がそう思い、唇を噛み締めたときだった。
 ガギィィィ!! と、どこかで聞いたことあるような音が運動場に響いた。
 そして、今にも天瀬ごと地面を貫こうとしていたツナが、明後日の方向に吹っ飛んでいくではないか。
「……よう天瀬……なんでお前がツナにやられそうになってんだよ……。ツナ様は信じる者に幸福を与えてくれるんじゃないのか」
「ケント……さん……」
 天瀬の前でコンサイコンを悠然と構えるその姿は、先ほど疾風に気絶させられたケントだった。
『な……なぜだ!? どうして人間如きが神の領域にある攻撃を防ぐことができるのだ!?』
 悪魔アークは驚愕に目を見開き、疾風に行っていた攻撃の手を思わず止めてしまう。
 ここが好機……とはならず、疾風すら悪魔と同じ方向を見つめ、戦いを忘れていた。
「そうか……あの武器……間違いない。人間でありながら神の力と打ちあえるとしたら、それは同じく神の力を使っているに決まっている。あいつ……神具なんて振り回してたのか!」
 神具……神々が使っていたとされる道具のことだ。ケントが振るうコンサイコンは、神具の一つだったらしい。
『何が神具だ。使ってるのは人間だろ? この数には対処できまい』
 悪魔の周囲に、先ほど疾風を襲ったのと同じほどの数のダークネスツナが展開されていく。
「ケントさん……」
「動くなよ天瀬」
『潰れろ人間!』
 一斉にケントに向けてダークネスツナが放たれた。常人なら、即座に死を覚悟する光景だ。なのに――。
 ケントはそれを全て、コンサイコンで弾き返していく。周囲には弾かれたツナが、打ち上げられたマグロのように散乱する。
「俺がいくらツナの攻撃を受けてきたと思う? ただ数撃たれる程度じゃ、俺のコンサイコンは鈍らない」
 汗一つかかず、降り注ぐツナを全て撃ち返し、時には脚を使って退ける。コンサイコンを振るうケント自身も、神具の力なのか神格を持つに至っているようだ。
『本当に人間かこいつ!? 数がだめなら……大きさだ!』
 無尽蔵に降り注ぐツナの雨が止むと、今度は特大サイズのツナがアークの上に出現した。
「あの大きなツナ様は……もしや本物の……!」
 目を輝かせ、空を仰ぐ天瀬。
「ちょ、はしゃぐなって。動くなって言ったろ」
「でもツナ様が……」
「よし、次で終わりにしてやる」
 動こうとする天瀬を宥め、ケントは頭上の巨大ツナを睨みつける。
『人間如きが図に乗るな!』
 一際大きいツナが二人めがけて飛来する。先ほどまでのツナと比べて十倍はあろうかというサイズだ。
 それを、ケントは迎え討つ。
「伊達にコンサイコン握ってないってのを、教えてやる!」
 叫び、疾駆する。落ちてくるツナに向かって怯えることなく、ケントはジャンプした。
「くらえええええぇぇぇ!! ケントスーパースペシャル!!」
 輝きを帯びたコンサイコンを、野球のバットのように振りかぶり、そして振り抜いた。
「ラアアアアァァァ!!」
 コンサイコンと巨大ツナ。特大のエネルギーがぶつかり合い、行き場を失ったエネルギーはその場で収縮し……そして拡散する――眩い閃光があたりを包んだかと思うと、音が消えた。
 小型の核爆発のようなものが引き起こされ、ケントと天瀬の姿は舞い上がった塵により見えなくなる。
 塵に目を覆う空中の堕天使と悪魔……その二人が次の瞬間に目にしたものは、塵を吹き飛ばしながら飛んでくる巨大ツナだった。
『なにぃぃぃぃ!?』
 コンサイコンにより、撃ち返されたツナが悪魔に迫る。
 急いで大量のツナを展開するアークだが、それらすべてを押し潰す形で、巨大ツナは悪魔を巻き込んで空の彼方へと飛んでいった。
「ツナ自体はあの絶対防御には攻撃と認識されなかったわけか……なるほどな」
 塵が貼れると、ケントとケントに抱きかかえられた天瀬の姿が見てとれた。二人とも無事のようだ。
 悪魔の消失を確認し、疾風はケントと天瀬の元へ降りていく。
「ケントさん!」
「ああ、いい……お礼とかそういうガラじゃないから」
 天瀬を離すと手を軽く振ってお礼を断るケントだったが、
「ツナ教に入りませんか?」
 お礼ではなく勧誘だった。
「なんでそうなるんだ! せめて今日ぐらいは見逃すとかそういうところじゃない!? あとお礼の方が先じゃない!?」
「おいもう、今日はいいだろ二人とも。めちゃくちゃだよ……ほんと……」
 疾風があまりにも疲れた声を出すので、二人の争いはそこでいったんの休戦を見ることとなった。

終章

「やばすぎ! 天使つよ! あれだけ抉れてぶっ壊れた運動場は一日で直ってるし、悪魔のツナが刺さってたところは塞がってるし、どうなってるんだよ」
「それが知りたければ、ハンムラビ法典を読め」
「バビローーーーン!」
 校舎及び運動場が一日で直ったことに感動するよしき……。それもそのはず、軽く一年はかかってもいいほどに、戦いのせいで校舎はめちゃくちゃだった。
「というか、よくもまあ誰も怪我してなかったな」
「ボクがでかい草加センベイ作って盾にしてたからね」
「ナイスだったぜ!! でも俺の財布から小銭が消えてたのはどういうことなのかな?」
「よしき……泣かないで」
「あーりんんんん……慰めてくれるのはあーりんだけだよおお! てことで、次はあーりんの財布でおねしゃす」
「あたしの財布!? やだよー!」
 ツナ教とコンサイコンの戦い及び、堕天使と悪魔の戦いから一日。昨日の今日で校舎が再建され、ここ『ぷそ一鯖勢』クラスもいつも通りだった。
 ただし……
「天瀬さんとケントさん、入院だってね……」
 あーりんが悲しそうに言った。
 無事なように見えた二人だったが、やはりあの爆発の中で無傷とまではいかなかった。
 重症になるような傷は負ってなかったのだから、それはもう奇跡と言えよう。
「そりゃそうだろ。悪魔とかそんなもんを相手にしたんだぞ?」
「みすたんも、ちゃら奴なら悪魔ぐらい事前に惚れ落として被害を防いでよ」
「たふさん無茶言わないで。オレは人間専門です」
「そんなことより、放課後みんなでお見舞いいかない? ね、疾風さんも来るでしょ?」
 一人会話に入ってなかった疾風は、ハッとしたように顔を上げた。
「あ……あぁ。俺も行こう」
「決まりー!」
 あーりんの無邪気な声で、放課後の予定が決まる。
 ツイッター学園『ぷそ一鯖勢』クラスは、今日も平和だ――。

「ちょっと看護婦さーん!」
「またケントさんですか? ナースコールは遊びじゃないんですよ?」
「いや遊んでないですよ! あの、ボクの病室変えてくれませんか?」
「それはできません」
 ところ変わって、ツイッター病院……ここらでは最も大きく、医療施設も充実した病院だ。
「ケントさんケントさん、入院してたら学校もないですしここでツナ様のお話を」
 ベッドの横からひょっこり顔を出したのは天瀬だった。手には『ツナ書』と書かれた分厚い本を持っている。ツナ教にとっての聖書みたいなものなのかもしれない。
「ほらこの人! ボクこの人のせいで全然療養できないんです!」
「いいじゃないですか……同じ学校のお友達でしょう? 話相手がいていいじゃないの」
「そんなことないです! 学校は一緒でもボクら友達とかそういうんじゃなくてですね!」
 必死に訴えるケント。それが看護婦さんに伝わったのか、「しょうがないわねえ」と息を吐いた。
「そう、しょうがないんですよ……だからボクを早く別の病室に……」
「ケントさんがツナ教に入るお手伝い、わたしにもさせてもらいますね♪」
「は……?」
 看護婦さんはいつの間にか、天瀬が持っているのと同じツナ書を手に持っていた。
「それでは看護婦さん、ツナ創世期、第二章第七節を読み上げてください」
「――そしてツナ様はこう言われた。ツナあれ!と。すると世界にツナが産まれ……」
「待って待って!? 何これどういうこと!?」
「ケントさん、この病院はツナ教の後援団体の一つなんですよ。つまり、この病院の人はみんな、ツナ教です」
「ボク退院します!!」
 その後、やってきたクラスメイトたちが必死に説得し、ケントを落ち着けたがそれはまた別のお話。
 ついでに、その夜ケントが病院を抜け出し大騒ぎになるのだがそれもまた別のお話。

「『グラウンドで大爆発!! 不発弾か』……物騒すぎるだろ。行かなくてよかった。やっぱり引きこもり最高過ぎる。イヒーーーーー! イヒヒヒヒヒーーーーーーー!」
 昼間からネットニュースを見ているグリフォン。もちろん平日だし、もちろん学校はサボってある。
「まあ、学校が危ないのはさておき、そろそろ顔出しておかないとさすがにヤバいな?」
 自問自答するグリフォン。
「単位とかそういうんじゃなくて……なんかもっとこう……立場というか出番というか、なんかそういうアレで危ういな?」
 発言がメタくてすでに危ういな?
「まあでも、担任の先生から聞いたところによると、もう一人全然学校にこない柑橘みたいな名前のやつもいるらしいし、大丈夫大丈夫。あー腹減った。ソフトフランスの出番だなこれは」
 オーブンに食パンを放り込んで、つまみを回す。
「ふう……。あー、パン焼けるの待つのつら。ん、なんか届いてる?」
 玄関先に一枚の紙が落ちていた。それを拾い上げ、目を通して見る。
「『ツイッター学園体育祭の案内』? 運動会かよぉ。つら。そんなお子ちゃまの遊びは当に卒業したグリフォンには縁がないな?」
 タイトルだけ目に入れると、そこでグリフォンの興味は尽きたらしい。
 その紙をポイッと放ると、オーブンの前に戻っていった。
 そしてタイミングよく、チーンと音が鳴る。
「…………学校……か……あっ! あつっ!!」

糸冬

※この作品はフィクションであり、実在する人物・団体とは一切関係がありません。
よく似た人がTwitter上にいたとしても、それはよく似た人です。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

長々とした文章にお付き合いありがとうございました。
結構加筆しました。寝ずに書いてたので、文章汚くて大分整形しましたね……。
はい、今回も楽しんでいただけたら幸いです。
こんなスローペースですので、今後もゆったりとした気持ちで楽しんでもらえると嬉しいです。というか助かります。頼むから休みを……。
ツイ学についてのお話は、ツイッターでみかんがいる時に出してくれると、記憶にとどめておきます!
それでは。



ケントさんとコンサイコンヤバすぎ。
あとアークさん名前が悪魔に似てるのと、なんかぷそでアゲハチョウの翼つけてたからっていう理由で悪魔にしてしかもすぐ退場させてごめんなさい。大丈夫です、すでに次回の登場予定あります。
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| ツイッター学園 | コメント(4)

コメント

(╭☞•́⍛•̀)╭☞☆゚.*・ていうかそれ、ハンムラビ法典に書いてあったから

2014年|05月|11日|03:18 |from よしきちくん| URL

ツナ教が滅びる話はまだですか??(・▽・)

2014年|05月|11日|03:30 |from 匿名希望。| URL 【編集】

バビローーーン!!!

2014年|05月|11日|03:31 |from 'ヮ'| URL 【編集】

ツナ!ツナ!

2014年|05月|19日|22:44 |from ぐり| URL

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